統一教会の信者に対する、拉致監禁・強制改宗について、その根絶を求めます。有識者の声。国境なき人権報告書(棄教を目的とした拉致と拘束)の論点の整理
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有識者の声


国境なき人権報告書

棄教を目的とした拉致と拘束

論点の整理

この報告書は、独立系の非政府機関である「国境なき人権(HRWF)」が、日本人を対象にした棄教目的の拉致・監禁の実態を記録したものである。 また日本の警察と司法当局が、そのような形の家庭内暴力について、加害者の捜査も起訴もしていない状況も説明した。
拉致行為の被害者が法の下の平等な保護を受けられず、加害者が法的責任を問われない実状は、日本国民が憲法で保障された権利の侵害であり、日本が国家として国際的義務として負っている人権規準への重大な侵害でもある。


本報告書の第一章では、日本の宗教事情を概観し、問題の背景を説明している。 日本人は伝統的に神道と仏教を軸に、複数の宗教に帰依する傾向がある。
そうした多神教文化が根強いために、宗教は個人の信条としてより、家族や一族のアイデンティティーを醸成してきた。
しかし第二次世界大戦後は個人主義が強くなって、集団的アイデンティティーや帰属意識が弱まってきた。
その隙間を埋めるように、新手の宗教団体やキリスト教諸派が活発になり、中には公序良俗から逸脱するような奇異な言動や暴力に走る運動も出現した。 そのおかげで社会全般に新宗教を嫌悪する傾向が広まり、信教の自由を制限してでも日本の伝統文化や慣習を守るべきだという主張が出てきた。
こうした傾向のせいで、個人の人権を擁護するはずの国内法規や国際的な人権保障義務を遵守しにくい状況ができているようだ。


第二章では、日本人を標的にした棄教目的の拉致・監禁の状況について、「国境なき人権」が実状調査した成果をまとめている。
2010年から11年にかけ、主に世界基督教統一神霊協会(略称・統一教会)とエホバの証人の信者ら約20人の被害者から聴取したほか、ジャーナリスト、弁護士その他の専門家に話を聞いた。
「国境なき人権」はこの問題で、日本の国会議員10名にも面会して意見を聞くことができた。


不法な拉致行為だが、その特徴は被害者本人の家族が、「脱会カウンセラー」と共謀して実行していることだ。 子供の将来をめぐる親の心配は、新興教団の危険性をあおるようなメディアの過剰報道によって一層増幅された。 拉致は慎重に計画・実行され、被害者は意思を全く無視された形で隔離されていった。
その実状を知れば、犯罪の実行者である家族の支配的な力が見えてくる。 家族は、日常の生活舞台から行方を消した子供について隠し通し、司法当局が捜査しないように誘導した。


監禁されている間に被害者は脱会を強要されるが、そうした説得行為を担当するのはプロテスタント教会の牧師や関係者が多く、問題の新興教団の元信者も支援する。
被害者の中には、拉致・監禁を経験してPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、深刻な心理的障害に苦しんだりする者も出ている。


最悪のケースとして、統一教会信者の後藤徹氏は暴力的に拉致され、12年間も隔離状態で監禁され、その間に絶食の強要を含む過酷な仕打ちを受けた。
2008年に解放されたが、その後、検察当局は拉致の実行犯について「証拠不十分」ということで起訴していない。


実際、加害側の両親や脱会カウンセラーを相手取った告訴は、知られている限り全て不起訴処分とされた。 警察は実に及び腰で、証拠や文書が揃っていると見られるケースでも捜査しなかった。


第三章では、こうした犯罪行為から信者を保護せず、捜査や起訴もしないために、信者たちが法の下での公平な保護を受けられないでいる実態が、いかに国際法に抵触したものであるかまとめた。
日本が棄教目的の拉致から市民を保護せず、法の下の平等原則を保障できないことは、「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」や国連人権委員会の諸決議に署名した国として負うべき国際的義務に明白に反している。
米国や欧州の関連判例なども整理しておいた。


第四章では、日本の当局や、内外の民間団体、国際機関への勧告を述べた。
本報告書が取り上げた犯罪行為は世界が知るべきであり、国際機関や市民団体は、日本の当局者がこの犯罪を終わらせるよう助言すべきだ。

  • 我らの不快な隣人

    ルポライター米本和広氏が、拉致監禁によって引き起こされたPTSD被害の実態をレポート。

    ►第6章 掲載
  • 人さらいからの脱出

    世にも恐ろしい「人さらい事件」に関わった弁護士、牧師、マスコミ人らの非道な実態を実名で白日のもとにさらす。

    ►書籍紹介
  • 日本収容所列島

    いまなお続く統一教会信者への拉致監禁。小冊子やパンフレット、HP等で告知してきた内容をまとめました。

    ►書籍紹介

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