統一教会の信者に対する、拉致監禁・強制改宗について、その根絶を求めます。冊子「拉致監禁」シリーズ2 - その時警察はどう動いたか。監禁を二度も黙認した警察 宮腰美千代 監禁を黙認する警察に失望
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冊子「拉致監禁」シリーズ 2 その時警察はどう動いたか

5 監禁を二度も黙認した警察

宮腰美千代

監禁を黙認する警察に失望

監禁されて20日経った頃、セールスの人がブザーを押しました。私は玄関まで走り「助けて!」とドアを叩きました。その人は、すぐ警察を呼んでくれましたが、私は弟に押さえ付けられ、部屋の中で大騒ぎするだけでした。母が外で警察官に「親子問題です」と説明すると、警察官は帰ってしまったのです。

父は「わざと警察の近くでやった。そうすれば95%の人が脱会するそうだ」と言い、その言葉で牧師たちの指導を受けているのがよく分かりました。わざと警察の近くに監禁場所を設けるのは、警察も助けてくれないことで信者が絶望するなど、心理的効果を狙ってのことなのでしょう。

監禁30日目頃から松沢牧師の顔色が悪くなり始めました。ついに元信者だけが来た日、私は「聖書批評学」が指摘する聖書の矛盾点について質問しました。元信者らは、福音派の松沢牧師から「聖書は一字一句間違いない」と教えられていたことを覆されて戸惑っている様子で、返答ができないまま帰りました。その後、松沢牧師がやって来て、苦し紛れの解答をしました。

監禁35日目頃、ついに松沢牧師は胆石の手術のため入院しました。牧師が入院したことから、私は「監禁から解放されるかもしれない」と期待感に胸を膨らませました。しかし期待は裏切られ、Tさんが高澤守牧師(単立・神戸真教会)を新たに監禁場所に連れて来たのです。親が頼んだ牧師が来られないのなら、それで終わるのが普通です。私は別の牧師が来たことに、とても落胆しました。

高澤牧師はその時、90日間の自動車免許停止期間中で、大きなバックに統一教会批判の資料を詰め込み、神戸から電車でやって来ました。高澤牧師は統一原理がよく分かっていないのに、「自分は反対牧師を21年やって来たから完成級の反対牧師だ」などと、やたらと統一原理の用語を使いたがる牧師でした。

そして「文鮮明の戸籍謄本、36家庭(祝福家庭)のリスト、統一教会を脱会した人の文章、昔の『原理解説』も持っている」と自慢し、「去年は24人、おととしは21人、統一教会をやめさせた」と話しました。高澤牧師は「力づくでも脱会させるぞ」という雰囲気に満ちており、教理批判よりもスキャンダラスな話題を得意とし、卑劣な話をしました。そして「あんたの他に今、同時に5人やっている」と他の監禁場所とかけ持って回りながら、そのメンバーが話した内容、偽装脱会して逃げた信者の話などをしました。

偽装脱会の話は、「こういうケースもあるから油断するな」と、まるで両親を教育しているようにも聞こえました。また、広島や東京にも行き反対活動をしていることを自慢し、「昨日は東京に行き、弁護士集会に参加してきた」と言いました。私が「弁護士の中に山口、東澤という人がいるでしょう」と言うと、牧師は「東澤っていうのは知らないけど、山口広っていうのと伊藤っていうのがいる」と言いました。そして「自分は統一教会から命を狙われている。二回も襲われた」と言い張る被害妄想家でした。

高澤牧師から文先生の誹謗中傷を毎日平均3時間ほど聞かされましたが、牧師は私が反論すると大声で怒鳴りだし、祈祷もせずにさっさと帰って行くこともよくありました。

私は監禁から逃げ出すチャンスはないかと必死でした。監禁43日目頃、玄関の内鍵を外し、ドアのわずかな隙間から助けを求める手紙を投げました。無謀な賭けでしたが、階段を通った人が手紙を読んでくれるのを期待したのです。ところが父に見つかり、さんざん叩かれました。父はその手紙を高澤牧師に見せ、牧師は「まだ逃げようと思っているのか」と怒鳴りました。脱会するまで続く無期限の監禁を、牧師は「話し合いだ」と言い、夫に連絡さえ取らせないようにしておきながら、「婚姻届は後で訴訟し、ちゃんと無効にすることができる」と平然と言ってのけました。私の心は深く傷つきました。

手紙で大騒ぎした3日後、たまたま住所を確認記入するために警察官が訪問して来ました。その時、私と母の二人きりでした。私は警察官に「助けてください、監禁されています」と騒ぎました。警察官は「落ち着いて下さい、部屋の中でお話を伺います」と言い、部屋の中に入って私の話を聞いてくれました。

私は、「親子の話し合い」と言っているけど、実際には牧師や元信者が介入して来ていること、約2か月近くも一歩も外に出られないことを訴えました。警察官は「家族だけで話し合うのが一番です」と言い、私が連絡を取りたい住所と電話番号(豊中教会の住所と電話番号)を聞き、母からも父の連絡先を聞いて「上司と相談し、また来ますから騒がないで下さい」と言って帰りました。私は監禁から解放される方向にいくのではないかと期待しました。

ところが、連絡は父の方にだけ行ったようで、父は城東警察署に呼ばれ、一方的に事情を話し、警察官は「宗教問題に口を挟むことはやめます」と言ったとのことでした。密室の中で悲惨な事件が起きてもおかしくない状況下で、二度も警察官が来たのに助けてくれなかったことに、私は本当に失望しました。


2 その時警察はどう動いたか
  1. まえがき
  2. 拉致監禁事件に終止符を打つため、両親・牧師を告訴 今利智也・理絵夫妻
  3. 三度の拉致体験 監禁行為に荷担した警察官 小林宗一郎
  4. 人権を無視した拉致監禁 許せない 静岡在住 M・S
  5. 監禁を二度も黙認した警察 宮腰美千代
  6. 桧田仁議員「警察は見て見ぬふり」
    田中警察庁長官「親族間でも厳正に対処」
    平成12年4月20日 衆院決算行政監視委員会での質疑応答要旨
  • 我らの不快な隣人

    ルポライター米本和広氏が、拉致監禁によって引き起こされたPTSD被害の実態をレポート。

    ►第6章 掲載
  • 人さらいからの脱出

    世にも恐ろしい「人さらい事件」に関わった弁護士、牧師、マスコミ人らの非道な実態を実名で白日のもとにさらす。

    ►書籍紹介
  • 日本収容所列島

    いまなお続く統一教会信者への拉致監禁。小冊子やパンフレット、HP等で告知してきた内容をまとめました。

    ►書籍紹介

URLから
http://kidnapping.jp/m/
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