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世界から指弾−日本の人権(10) 被害者ら急遽ジュネーブへ
国連の経済社会理事会――。青少年、人間環境、食糧問題をはじめさまざまな社会問題を担当し、世界各地の人々の人権と自由を尊重し、どう守っていくかといった問題などについて勧告を行っている。国連憲章にある国連の平和維持、人権擁護活動を実現するための先兵役の機関である。
NGO(非政府組織)が、国連人権理事会に声明文を提出するには、この理事会が認める「協議資格」というものを得なければならない。日本における強制改宗・棄教による人権侵害の事例を取り上げ、声明文を提出したのは、その資格を持つ国連NGO「UPF(天宙平和連合)」。
資格獲得には厳しい条件がある。NGOの目標と目的が、国連憲章の精神、目的、原則に一致しなければならない。さらに同理事会やその補助機関のほとんどの活動に関係し、活動実績、活動期間の条件も満たされていなければならない。
国連の人権擁護活動は、NGOの協力なしにことを進めることができない。国連が連携・協議する国際的な非政府組織は、国連NGOと呼ばれ、時に、国際政治を動かすほどの影響力を持つこともある。
声明文が受理されるには人権理事会の複雑な手続きも要る。今回、それらを一手に引き受け粘り強く交渉して実現させたのは、欧州が主要舞台であるNGOの人権団体「FOREF」の事務総長、ピーター・ゾーラ氏。ゾーラ氏自身はオーストリアで活動している。
アズマ・ジャハンギール特別報告者の報告が終了して、ゾーラ氏は、出席していた日本のM一等書記官に近づき、くだんの文書を見せ「提出したのは私たちです。日本政府はこの問題についてどう思いますか」と、直接問いかけた。
すると、M書記官は「ぜひこの会期中に、被害者に直接会って話を聞いてみたいのだが……」と答えた。ゾーラ氏は早速、UPF日本支部に連絡し「被害者自身がこちらに来れないか」打診してきた。日本支部ではこの時まで、被害者をジュネーブに送るという考えはなかったが、ゾーラ氏の熱心な要請に応じ、さっそくその手はずを取った。昨年3月12日のことである。
3日後の15日には、拉致監禁の被害者の後藤徹氏がジュネーブ到着という電光石火の対応だった。ジュネーブにはもう1人、29年前に監禁被害にあったポルトガル在住の日本人のIさんも急遽、足を運んだ。
後藤氏らは、16日に国連欧州本部に入りセッションに参加しながら、M書記官の連絡を待った。直接会ったのは翌日、国連本部のカフェだった。監禁から解放直後のやせ細った自身の被害写真を見せながら訴える後藤氏やIさんの話を、M書記官は30分ほど熱心に耳を傾けた。
「まず、私が本日聞いた話を東京につなぎます」。M一等書記官は、日本政府にきちんと報告しますから、と約束したのである。
(「宗教の自由」取材班)
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http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main.html