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世界から指弾−日本の人権(18) 国際カップルの受難に手を
強制改宗・拉致監禁問題の早期解決を訴える集会に参加した国際結婚カップルの女性被害者たち(昨年10月12日、ニューヨーク市)
国際カップルが増えている。2004(平成16)年1年間に結婚した日本人(日本国籍者)のうち15組に1組が国際結婚で、全体の6・6%まで増えた。また同年に海外の日本領事館などに届け出のあった1万842組のうち、一方が外国人のカップルは8903組(うち85%が妻日本人、夫外国人)に上った。それにつれて、家族や2人の間でトラブルも増加している。
一昨年、日本人女性が連れ帰った子を米国人の元夫が来日して取り戻そうとして逮捕される事件が起きた。米CNNが「(日本は)子供連れ去りを容認する国家だ」というニュアンスで報道し、いち時は日米間の外交問題に発展しかねない事態となった。
国際カップルの家族や縁者が引き起こす強制改宗・拉致監禁も、在住国との間で複雑な問題に発展していく可能性がある。
今から10年前の02(平成14)年11月に、韓国に嫁いでいる元木恵美子さん(当時32歳)が山形市の実家を夫婦で訪ね、両親や親族らに強制的に連れ出され、拉致監禁、強制改宗を迫られるという事件が起きた。
夫の金斗植さんは、直ちに仙台市にある韓国領事館に駆け込み助けを求め、東京にある大使館が乗り出した。その結果、山形警察署が動いた。元木さんは、加害者と気脈を通じていた牧師宅で監禁されているところを発見され、保護されたのである。
この時、仙台市の韓国総領事館の担当者は「管内には国際カップルが2千人ほどいる。国民保護の観点から彼らに関する事件には、重大な関心を持たざるを得ない。今回もその一つだ」と語り、憂慮した。
前年の01年にも大阪で、同様の事件が起きている。この時は急遽、来日した韓国人の夫が奔走し、幸い地元の警察署の迅速な協力を得て夫人の居所が突き止められ、救出された。
今、韓国では約300人の日本人女性が強制改宗・拉致監禁の被害を訴えており、彼女らが日本に里帰りした場合、再び拉致監禁される懸念が少なからずあるという。事件が起きて対処するのでは遅過ぎる。日本政府当局は、被害女性たちの救済に手立てを尽くすべきである。
国際結婚カップルの被害者は日本・韓国間だけではない。1998年には米国人を夫に持つ、アントール美津子さん(当時26歳)が日本に里帰り中、両親らに拉致された。すぐに夫は、当時のオルブライト米国務長官に手紙を書き、国務省による事件調査を依頼。事件解決のため、早急に日本政府への働き掛けを求めた。
アントール美津子さんは解放された後、このときの体験を夫妻で米国務省の「海外における宗教の自由諮問委員会」で証言している。その結果、米国務省が作成した「宗教の自由年次報告書99年版」に、日本における強制改宗・拉致監禁問題の存在が初めて記され、以後、毎年のように取り上げられるようになった。
この報告書の指摘は、現在も人権大国を目指す日本政府に、その資格の有無を厳しく問い詰めている。
(「宗教と自由」取材班)
過去の記事は世界日報社ホームページでも閲覧できます。
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main.html