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“ストーカー”裁判−オカシナ判決文(上)/火の粉を払え ルポライター米本和広blog

ストーカー事件の真相(13) 

 再び、「ストーカー事件の真相」である。 
  宇佐美隆さんは、東京地裁の判決を不服として、東京高裁に控訴した。 
 明日(19日)、その控訴審の第1回公判が開かれる。 
  
 話はすぐに飛んでしまうのだが、今回の控訴審で逆転勝訴を期待する向きがある。しかし、私はそれほど期待してはいない。東京高裁で逆転判決が出る比率が低いからである。確か8%前後だったと記憶する。
 この低さに憤慨したこともあるが、一般論で言えば、プロの裁判官が下した判決を、いくら上級審に所属する裁判官といえど、そこに瑕疵を見つけて否定する−のは難しいということなのだろう。 

 これに関連して、私の体験を記しておく。 
 別冊宝島『モンダイの弁護士』で、医療事件では著名な弁護士・加藤良夫氏を批判する記事を書いた。加藤氏は私を名誉毀損で訴えた。結果は私の負け。当然、東京高裁に控訴した。入念な準備をして臨んだが、第1回の法廷ですぐに結審。次回の期日はもう判決の言い渡し。何だかフェイントをかけられたみたいで、気抜けしてしまった。 
 

 以下は、もう一つの体験。 
 ある殺人事件の刑事裁判で、25歳の青年に懲役13年の刑が下った。彼は「殺意はなかったのだから、殺人ではなく、過失致死だ」として控訴した。 
 私は情状を求める証人を頼まれたので了承した。 
 ところが、東京高裁の控訴審はやはり1回の公判だけで結審した。むろん、私の証人申請も却下。 
 私の体験は稀有なケースではなく、控訴審が1回で結審する(当然、棄却)のは珍しいことではない。だから、さほどに期待していないのだ。 

 とまれ、宇佐美さんが不服に思った地裁判決とはどんなものだったのか。 
 これから3回にわたって、3日置きに、2011年12月27日に宣告された宇佐美さんに下された有罪判決文をアップしていく。(ただし、「証拠の標目」は省略)  その前に、東京地方裁判所刑事1部に所属する福士利博裁判官に苦言を呈しておきたい。 

 判決文が弁護人に届いたのは、控訴期限日の12年1月11日のことだった。このため、宇佐美さん側は判決文を精査することなく、控訴せざるを得なかった。 
 控訴期限は、判決文を受け取ってからでなく、判決の申し渡し(今回は11年12月28日)を受けてから2週間と定められている。そのため、法的には問題はないにしても、一般常識からすれば、あり得ない話である。 

 しかもである。弁護人がメモを取りやすいように、判決文を読んでいたのならまだしも、そうではなかったようだ。 
 世界日報の連載記事「ストーカー裁判の記録を終えて(4)」から、その部分を引用しておく。 

 福士裁判長は、判決文を読み上げるとき、行為の主体(文章的には主語)を間違えて読み、改めて読み直すことを何度も繰り返したり、読み詰まったりした。そのため傍聴者には聞き取りにくいことこの上なく、メモをとって文脈を理解することが困難なほどだった。汚い下書きを読み下したからとも聞くが、厳粛な判決言い渡しにそぐわない、あまりにもお粗末な朗読だったのである。 


 2点ばかり注意を促しておきたい。 
 判決文は長文である。通読すれば、必ず、「あれ?宇佐美さん側はどんな主張をしていたんだっけ」という疑問が浮かぶはず。そこで、被告人側の最終陳述書をリンクしておくので、時折、読み比べてもらいたい。 
「ストーカー裁判−弁護人の最終陳述(上)」 
「ストーカー裁判−弁護人の最終陳述(中)」 
「ストーカー裁判−弁護人の最終陳述(下)」 

 また、宇佐美さんが起訴されたのは「恋愛感情を充足させる目的」、「待ち伏せ行為を繰り返した」ということにある。宇佐美さんの行為がこの2つの要件を満たしていれば有罪、そうでなければ無罪である。このことに注意しながら、読んでもらいたい。 
 、 

−判決文の構成−

主文 
理由(罪となるべき事実) 
   (証拠の標目)省略 
   (事実認定の補足説明) 
    前文 
    1 
     (1)犯行に至る経緯等?〜? 
    
 (2)判示1の行為についての犯行状況 
      (3)判示2の行為についての犯行状況 
      (4)判示3の行為についての犯行状況 
      (5)判示4の行為についての犯行状況 
      (6)判示5の行為についての犯行状況 
    2 表題なし。内容は被告側主張の検討 
    3 表題なし。内容は被告側主張の検討  
  (法令の適用) 
  (量刑の理由) 

*1 固有名詞の一部をイニシャル表記にした。 
*2 文中の下線とゴチックと赤字は私。それ以外は読みやすくするため改行と行空けを行ったが、原文のママである。下線などは私が留意したところで、メモ的なものである。 
*3 今回アップするのは青字の部分である。


−判決文−

本籍・住居 ■■■■■
中古車卸売業
宇佐美隆
昭和43年4月11日生

 上記の者に対するストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」という。)違反被告事件について,当裁判所は,検察官菱沼洋,弁護人(私選)堀川敦(主任)及び同宮入陽子各出席の上審理し,次のとおり判決する。 

主文 
被告人を懲役3月に処する。 
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 
訴訟費用は被告人の負担とする。 

理由 
(罪となるべき事実) 
 被告人は,かつての婚約者であるKM(当時36歳)に対する恋愛感情を充足させる目的で,同人の父親が使用している自動車の底部に全地球測位システム(略称GPS)機能付き携帯電話機を密かに貼り付け,同車の位置を測定して,同人の立ち回り先から前記KMの所在を推測する方法により, 

1 平成22年6月8日午後5時30分頃,東京都新宿区新宿1丁目35番NPC新宿第2パーキング前路上において,同人を待ち伏せし, 
2 同月12日午後3時30分頃,東京都杉並区荻窪4丁目7番20号先路上において,同人を待ち伏せし, 
3 同年9月30日午後2時50分頃,東京都新宿区新宿1丁目36番3号グローリービル前路上において,同人を待ち伏せし, 
4 同年10月13日午後零時頃,東京都杉並区荻窪2丁目21番9号N方敷地内において,同人を待ち伏せし, 
5 同年11月28日午後5時40分頃から同日午後7時頃までの間,前後2回にわたり,東京都杉並区桃井1丁目35番9号荻窪ラドン・サウナセンター出入口付近及び同センター内受付付近において,同人を待ち伏せし, 

もって同人に対し,ストーカー行為をしてものである。 

(証拠の標目):省略 

(事実認定の補足説明) 

 弁護人は, 
(1)被告人はKM(以下「K」という。)の居場所を探し,その上でKに対して被告人との結婚の意思を確認する目的で判示1ないし5の各行為を行ったものであり、Kに対する恋愛感情を充足する目的で判示各行為を行ったものではない, 
(2)被告人は判示各行為の際にKが各場所に現れることを認識,予想していなかったから,本件各行為はストーカー規制法上の「待ち伏せ」には該当しない, 
(3)仮に被告人の本件各行為がストーカー規制法上の「待ち伏せ」に該当するとしても,被告人にはストーカー行為の故意がなかったなどと主張し, 

 被告人は,判示各行為当時,被告人が判示各場所にいたこと自体は認めつつも,上記弁護人の主張に沿う供述をするので、以下、判示事実を認定した理由について補足して説明する。 

 関係各証拠によると,以下の事実が認められる。 
(1)犯行に至る経緯等 

?世界基督教統一神霊協会(以下「統一教会」という。)の信者であった被告人とKは,平成19年2月,統一教会の教祖から結婚相手として指名され,国際合同祝福結婚式(合同結婚式)に参加して宗教上の婚約をした。 
 以後,両名は,結婚を前提とする交際を続け,同年8月に宮崎県内の被告人の実家を訪れ,被告人は両親にKを紹介した。 
 また,両名は,同年10月に川崎市で行われた統一教会の家庭修練会に参加した。 
 家庭修練会とは,結婚生活を出発させる直前に行われる修練会であり,教義にのっとって夫婦関係を持つ三日行事という儀式を中心として夫婦の在り方を学ぶというものであった。 

?被告人は,平成20年1月1日,Kとともに神奈川県相模原市内のKの実家を訪れようとしたが,Kの両親は,Kと被告人との結婚に反対し,被告人の訪問を断ったため,Kは一旦実家に寄ってから被告人を最寄り駅まで送って被告人と別れた。 
 しかし,その後,Kは被告人からの電話やメールに応答せず,被告人との連絡を絶った。 

?その後,被告人は,Kの実家に様子を見に行ったり,Kの親戚の住所や家族構成を調べたりしたほか,様々な方法でKの居場所を探すなどした。 
 また,被告人は,同年中にKの父親あてに,Kを愛している,Kとの結婚を認めてほしいという趣旨の手紙(甲43添付のもの)を書いたが,これを送ることはなかった。 

?Kは,同年12月,統一教会を脱退する旨及び被告人との婚約を破棄する旨の文章を統一教会に内容証明郵便で送付した。 
 また,Kは,同月,所属していた教会支部の青年部長であったNN(以下「N」という。)に電話をかけ,残してきた荷物を送ってくれるよう依頼するとともに統一教会からの脱退と被告人との婚約の破棄が自己の本心であることを告げた。 
 そして,被告人は,同月末頃,Nから,Kから上記内容の内容証明郵便が送られてきたこと及びKと電話で話したことを聞いた。 

?被告人は,同月から翌平成21年1月にかけて,Kの姉が以前に所属していたキリスト教会を訪れて,関係者にKやその姉の行方を尋ねたり,Kのおばの家を二度にわたって訪れ,Kの居場所を尋ねたり,Kの婚約者であると告げてKに会わせてほしい,結婚させてほしいなどとと言ったが断られた。 
 また,同年6月にはKにあてて, 
「どうしていますか。元気ですか。いつか会えますように。」 
 などと記載したメール送信した。 
 また,被告人は,同年8月から9月にかけて,Kの実家を頻繁に訪れて様子を確認し,Kの父親が実家に一人で住んでいることを知り,Kの父親に対し,Kと会わせてほしいと述べたり,Kの居場所を聞き出そうとしたが断られた。 
 そこで,被告人は,この頃からKの父親の後を尾行するようになり,統一教会の青年部にも協力してもらい,同年11月には東京都杉並区内のマンションにKが住んでいることを突き止めた。 

?被告人は,同月,統一教会の複数の信者とともにKが住んでいた上記マンションを訪れ,同マンションの関係者らに被告人の婚約者がいるので会わせるように求め,大きな騒ぎとなった。 
 さらに,被告人は,同月,上記マンションを一人で訪れ,Kが統一教会からの脱退とその後の生活の支援を受けていた宮村峻(以下「宮村」という。)らとの間でもみ合いとなり,110番通報された。 
 その際,被告人は,宮村に対し,Kに会いたい,話をさせてほしい,結婚したいなどと話したが,後日,宮村は,Kの意思を確認した上,Kには被告人と会う意思がない旨被告人に伝えた。 

?Kは,同年12月,被告人の両親あてに,被告人と別れることになったこと,被告人から預かった物があるが連絡が取れず,現住所も分からないので,別便で送る荷物を被告人に渡してほしい旨の手紙(弁16)を書いて,これを郵送した。 
 そして,その頃,Kは,被告人あてに統一教会を脱会したこと,被告人との婚約を破棄し,被告人との関係は終わったこと,被告人に電話をする気はないし,会うつもりもないことなどを記載した手紙(甲66)を書き,これを被告人から受け取っていた指輪や携帯電話機などと一緒に宮村を通じて被告人の実家に送った。 

 被告人の母親は,事前に被告人からKからの荷物が届くかもしれないが受取を拒否してほしいと言われていたが、自分宛の荷物であったことから受け取ることとした。 
 そして、被告人の母親は,荷物が届いてすぐにその旨被告人に電話で伝えたが,荷物を開けたのは翌平成22年の正月が明けてしばらくしてからであり,また中にあった被告人の両親あての,被告人と別れることになったことを記載した手紙を読んだものの,荷物の中身は確認しなかった。 

?統一教会の拉致,監禁の相談窓口担当者であり,平成20年夏以降,被告人からKと連絡が取れなくなったことについて相談を受けていたSI(以下「S」という。)は,被告人から東京都杉並区内のマンションにKがいることを突き止めたがその後行方不明になったと聞き,平成21年秋頃,Kの居場所の調査を興信所に依頼した。 
 興信所はKの居場所を調査し,Kが千葉県銚子市にいるようだとの調査結果をまとめ,平成22年1月14日付けの調査結果報告書を作成してSに報告し,また,そのころ被告人は調査結果報告書を受け取った。 
 そこで,Sはその旨Nに伝え、Kの様子を見てきてほしいと依頼し,同年2月頃,Nが現地を確認したもののKと会うことはできなかった。 
 そして,Nは,長い間捜していたがKと会うことができず,これ以上何をすればいいのかと感じ,その頃Sに「難しい。」と伝え,また被告人に対しては「あきらめるしかない。気持ちの整理を付けるしかない。」と伝えた。 

?被告人は,同年2月,Kあてに「M子さん,早く会いたい。」という表題で 
「Kさんと一緒になれるように何でも全力を尽くして頑張っていきたい。どうかお返事ください。」などと記載したメールを送信した。 

?Kは,同年1月以降,東京都新宿区新宿1丁目に事務所がある山口広弁護士(以下「山口弁護士」という。)らに統一教会からの脱会に伴う事件処理を依頼し,同年2月5日には山口弁護士らから統一教会あてに金銭の支払い請求を求める旨の内容証明郵便が送付された。 
 Kは,その後も両親とともに山口弁護士の事務所を定期的に訪れ,山口弁護士らと打ち合わせを行っていた。 
 その際,Kの父親は,車を利用し,自宅のある神奈川県相模原市内から東京都杉並区荻窪の当時KとKの母親が一緒に住んでいたマンションを経由して両名を車に乗せて新宿の山口弁護士の事務所に向かい,打ち合わせが終わってからは,Kらを荻窪で降ろして自宅に帰っていた。 

?被告人は、NからKが山口弁護士らに上記事件処理を依頼したことを聞き,同年3月頃,Nに山口弁護士の法律事務所の場所を教えてほしいと依頼し,同年6月4日,Nからメールで同事務所の場所を教えてもらった。 

?被告人は,自分でKを探すしかないと考え,同年4月ころ,Kの父親の車の底部にGPS機能付きの携帯電話機を密かに貼り付け,以後,この携帯電話機から発信される位置情報によりKの父親の車の位置を把握し,Kの父親の立ち回り先からKの所在を推測していた。 

?被告人は,同年8月か9月頃,実家に帰省した際,平成21年12月にKから被告人の実家あてに届いた荷物の中身を確認し,中にあった被告人にあてた手紙を読み,これらを持ち帰った。 

?被告人は、判示5の行為の直後に,Kに対する気持ちとしてノートに 
「僕は,あなたがいてくれさえすればそれでよかった。」 
「僕は,ただひたすらずっとあなたを探しつづけた。」 
「あなたのことがただ恋しかった。あなたの姿を一目みたかった。」 
などと記載した(甲51の右上に485ないし488と記載のある部分)。 
  
 また,その後,被告人は,上記ノートに 
「M子をとりもどしたい=信頼されたい=ホレられたい=愛されたい」、 
「欲しいものリスト」として「M子の愛」,「信頼関係」とも記載し(甲51の右上に493,494と記載のある部分), 
 さらに,同年12月には,上記ノートにKの父にあてて、Kとの関係をあきらめたもののKが置かれている境遇を心配している旨記載するとともに、 
「私は本当にM子さんの家族を愛したかったし,M子の子供がほしかったけれども,僕の気持ちがまったく伝わらなかったのは,悲しく残念でした。」 
 と記載した(甲51の右上に509ないし512と記載のある部分)。

−続く−
 
火の粉を払え ルポライター米本和広blog
 
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