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2021年3月9日

広島夫婦拉致監禁事件 民事裁判 控訴審でも信徒側が勝訴! 敗訴した尾島淳義らが上告を断念。控訴審判決が確定す! 判決文を紹介!


広島夫婦拉致監禁事件は一審で敗訴した被告側6人が判決を不服として控訴しましたが、20201127日に広島高等裁判所が控訴審判決を言い渡しました。

 

控訴審判決は一審判決を支持するもので、被控訴人(信徒側)が勝訴しました!

 

一審判決を支持した控訴審判決においても拉致監禁の事実と控訴人(加害者側)全員が脱会と棄教を強要する不法行為を行ったことが認定されました。

また、被告側が上告を断念したため、控訴審判決が確定しました!

 

しかし、残念ながら賠償金額が以下のように減額となりました。

以下に比較して記しておきます。

 

<一審判決>

原告夫に対して1161200

原告妻に対して1652180

合計2813380

 

<控訴審判決>

被控訴人夫に対して611200

被控訴人妻に対して1102180

合計1713380

 

以下、確定した控訴審判決文の抜粋を掲載します。

 

今後、このような拉致監禁、強制棄教事件が二度と起こらないことを願うばかりです。

 

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【判決文の表記についての解説】

.人物名の表記について

プライバシー保護のため個人名等は伏せて記載します(一部人物は実名表記)。

なお、個人名を伏せて表記した部分は太字にしてあります。

①被控訴人(被害者側)についての表記

被控訴人夫妻の名前は「」「」と表記しました。

②控訴人(加害者側)についての表記

被控訴人夫妻の両親は「夫の父」「夫の母」「妻の父」「妻の母」と表記しました。また、被控訴人夫妻の親族でない元信者の姉は「元信者の姉」、その夫は「元信姉の夫」と表記しました。

2.重要と思われる部分は赤文字にしてあります。 特に重要な部分には下線を引きました

3.判決文では「世界平和統一家庭連合」の旧称「世界基督教統一神霊協会」の短縮形として「統一協会」と記しています。

 

【主な登場人物】

判決文の理解を助けるため、本訴訟の主な登場人物を紹介します(判決に基づく)

●被控訴人2人 

被控訴人、被控訴人 :家庭連合信者。当時、年齢は共に40代、子供2人(当時、長女8歳、長男3)

●被告6人(原告夫の父は、本民事訴訟中に死去、訴外となる) 

尾島淳義  青谷福音ルーテル教会の執事(当時)。キリスト教神戸真教会の高澤守牧師と共に監禁下の脱会強要を主導。なお、亡高澤牧師は本件刑事告訴の被疑者として捜査中に自殺した。

  被控訴人夫の母被控訴人妻の父被控訴人妻の母

 :亡高澤と尾島の指導の下で拉致監禁脱会強要を実行した。

  元信者の姉元信者姉の夫

 :元信者の姉は、家庭連合信者であった実妹を亡高澤守牧師と共謀して脱会させた人物。判決によると本件事件では元信者の姉と共にその夫である元信者姉の夫が原告らに対する拉致監禁の一端を担った。

 

【判決文の構成】

判決文全体の構成を俯瞰できるように以下に見出しだけを記しました。

判決文のポイントとなる赤字で記した部分を抜粋して掲載しました。

 

主 文

事実及び理由

第1 控訴の趣旨 

第2 事案の概要

1 要旨

2 原審の判断と不服申立て

  3 (略)

4 当審における控訴人らの補充主張

()争点1 (控訴人らの行為に不法行為が成立するか否か)について

ア 控訴人両親ら

                ()被控訴人「夫」関係   

()被控訴人「妻」関係

イ 控訴人尾島 

       ウ 控訴人「元信姉の夫」

エ 控訴人「元信の姉」

()争点2 (控訴人らの行為に不法行為が成立する場合に、正当行為として違法性が阻却されるか否か)について 

3当裁判所の判断

1 (略)

2 認定事実

3 争点1 - (控訴人らの行為に不法行為が成立するか否か)について

()控訴人らは、共謀の上、被控訴人「夫」を拉致して車内に監禁し・・・(以下、略)

()控訴人両親らの被控訴人らに対する不法行為の成否

()控訴人尾島の被控訴人らに対する不法行為の成否

()控訴人「元信姉の夫」の被控訴人らに対する不法行為の成否

()控訴人「元信の姉」の被控訴人らに対 不法行為の成否

4 争点2 (控訴人らの行為に不法行為が成立する場合に、正当行為として違法性が阻却されるか否か)について

5 争点3 (被控訴人らに生じた損害の有無及び額)について

()被控訴人「夫」に生じた損害

()被控訴人「妻」に生じた損害            

6 結論

 

それでは、以下に判決文を掲載します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

令和21 12 7日 判決言渡 

令和2()9 7号損害賠償等請求控訴事件(原審・広島地方裁判所平成28()5 5 4)

口頭弁論終結日 令和292 9

 

判    決

住所A

控訴人 尾島淳義

住所B

控訴人 元信姉の夫

同所

控訴人 元信の姉

住所C

控訴人 夫の母

住所D

控訴人 妻の父

同所

控訴人 妻の母

控訴人ら訴訟代理人弁護士 吉 井 正 明

勝 俣 彰 仁

増 田 祐 一

郷 路 征 記

我 妻 正 規

               清 水 正 之

               浅 利 陽 子

 住所E

被控訴人        

同所

被控訴人 

被控訴人ら訟代理人弁護士  福本修也

          主     文

1 原判決主文1項ないし3項を次のとおり変更する。              

()控訴人らは、被控訴人に対し、連帯して6 11 2 0 0円及びこれに対する平成2 673 1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 

()控訴人尾島淳義、控訴人元信の姉、控訴人夫の母、控訴人妻の父及び控訴人妻の母は、被控訴人に対し、連帯して1 1 02 1 8 0 円及びこれに対する平成2 673 1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

()被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用(略)

 

事  実  及  び  理  由

1  控訴の趣旨               

1 原判決中、控訴人らの各敗訴部分を取り消す。

2 上記取消部分に係る被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は、第12審とも被控訴人らの負担とする。

 

3 当裁判所の判断

3 争点1 - (控訴人らの行為に不法行為が成立するか否か)について

( 1 )控訴人らは、共謀の上、被控訴人を拉致して車内に監禁し、更に5 01号室に監禁して、統一協会からの脱退と棄教を強要したことが認められる。また、控訴人妻両親、控訴人夫の母、控訴人尾島及び控訴人元信の姉は、共謀の上、被控訴人を拉致して車内に監禁し、更に5 0 1号室に監禁して、統一協会からの脱退と棄教を強要したことが認められる。控訴人らの上記各行為は、民法7 1 91項前段の共同不法行為に該当するものと判断するその理由は、後記(2)ないし(5)のとおり、控訴人らの当審における補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中「第3当裁判所の判断」の3に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決2 92 6行目冒頭から3 07行目末尾までを、次のとおり改める。

    「また、被控訴人らは5 0 1号室に運び込まれて以降、ハンガーストライキに及び、被控訴人は、トイレに立て籠もり、知り合いの統一協会の信者に救出を求めるメールを送信し、平成2 673 1日に警察官が5 0 1号室を訪問した際には被控訴人らが救出を求めて叫ぶなど、控訴人らによる脱会説得行為に対して反抗する態度に出ており、控訴人らの説得を容認する意思がなかったことは明らかである。被控訴人らが5 0 1号室で暴れるなどしなかったのは、控訴人らによって脱出が困難にされていたことによるのであるから、被控訴人らが同所で表面上は平穏に起居していたとしても、同所に居ることや、控訴人両親らの説得を容認していなかったことに変わりはなく、その行動の自由が違法に制約されていたというほかない。監禁中の被控訴人らと控訴人らの間で平穏が保たれていたとしても監禁行為等の違法性を低減させる事情ということはできない。

()控訴人両親らの被控訴人らに対する不法行為の成否

控訴人らは、前記第24 (1 )アのとおり、被控訴人が、控訴人夫の母夫の兄らの意を酌んで、抵抗することなく本件マンションに連行され、5 0 1号室にとどまっており、生命身体に対する危険もなかったこと、被控訴人を本件マンションに同行した方法も、違法とまでは断じることができないもので、被控訴人5 0 1号室において比較的平穏に起居していたこと、控訴人両親らは、被控訴人に負担をかけることなく安全に配慮して親の愛情からやむを得なく本件に及んだことからすれば、被控訴人らに対する不法行為は成立せず、このことは控訴人両親らが起訴猶予になったことからも明らかであるなどと主張する。

しかしながら、本件マンションまで連行されるに際し、被控訴人が、車外に脱出するためトイレに行かせてほしい旨を頼んだり、車内でもがいて暴れるなど当初抵抗を試みたのであり、簡易トイレを使用するよう差し出されたり、抵抗すれば有形力の行使も辞さないと告げられたため抵抗を諦めたにすぎず、本件マンションに同行することに任意かつ自由な意思で同意したものと到底いうことはできず、脅迫をもってその身体の自由を侵害するものである。また、控訴人らが、被控訴人を本件マンションに連行するに際して取った方法は危険かつ悪質なものであり、結果的にも被控訴人に傷害を負わせている。更に、被搾訴人らは、5 0 1号室においてハンガーストライキに及ぶなどして抗議の意思を表明しており、表面上は平穏に起居していたとしても、その行動の自由に対する制約の程度は大きかった。そして、本件が、 控訴人両親らの被控訴人らに対する情愛から出たものであったとしても、その方法は社会的相当性を逸脱するものといわざるを得ず、控訴人両親らが起訴猶予になったことは、不法行為の成立を妨げる事情とはいえない

以上のとおり、控訴人らの上記主張は採用することができない。

 

(3)控訴人尾島の被控訴人らに対する不法行為の成否

控訴人らは、前記第24 ( 1 )イのとおり、控訴人尾島は、被控訴人らが5 0 1号室に連行された過程には一切関与しておらず、同人らが5 0 1号室から退去したい意向を有していたことは知らず、認識もできなかったとして、本件に主体的に関与しておらず、本件につき起訴猶予となったことからも控訴人尾島の行為に不法行為が成立しないことが明らかであるなどと主張する。

   しかしながら、控訴人尾島は、家族会(神戸集会)の主催者として、統一協会の元信者やその親族の体験談を聞いていたのであるから、身柄を拘束しての脱会に向けた説得が統一協会の信者の意思に反するものであることは予め了解していたものと認められる。そして本件で、平成2 672 7日午後4時頃5 0 1号室を亡高澤とともに訪問した際、被控訴人が亡高澤に拉致監禁罪であるなどと抗議するのを聞き、同日から同月3 0日までの間に被控訴人らから脱会説得行為を中止して5 0 1号室から退去するように求め られていたのであり、控訴人尾島自身が本人尋問(7 07 1)において、被控訴人がトイレに立て籠もったことを当日かその翌日頃に聞いたことや助けを求めていたことを自認しており、控訴人尾島は、被控訴人らがその意に反して5 0 1号室に監禁されていることを認識していたことが明らかである。控訴人尾島が主宰する家族会(神戸集会)では、身柄の拘束に当たるような方法で統一協会の信者を保護した体験談が語られており、控訴人両親らが同様の方法で被控訴人らを連行することがあることを予め認識しながら、控訴人尾島は本件の実行を決定したこと(控訴人らは、控訴人尾島が実行の最終決定をしたことを否認するが、控訴人尾島は本人尋問[ 6 0項以下]においてこのことを自認している。) 、控訴人尾島の5 0 1号室における言動が穏便なものであったにしても、被控訴人らの意思に反し、話合いを強いるなどして、控訴人らの監禁や脱会強要の一端を担っていたことからすれば、控訴人尾島の行為は不法行為に当たる控訴人尾島が起訴猶予になったことは不法行為の成立を左右する事情とはいえない

したがって、控訴人らの上記主張は採用できない。

 4 争点2 (控訴人らの行為に不法行為が成立する場合に、正当行為として違法性が阻却されるか否か)について

本件において、控訴人らによる、被控訴人らに対する行為の違法性が阻却されるとはいえない。その理由は、当審における控訴人らの補充主張に対する判断を含め、次の( 1 )から( 3)のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中「第3当裁判所の判断」の4に記載のとおりであるから、これを引用する。

( 1 )原判決3 52 2行目の「③原告らを5 0 1号室において」を「③ 5 0 1号室における監禁に抗議してハンガーストライキをする被控訴人らを」に改める。 

()原判決3 62行目冒頭から5行目末尾までを、次のとおり改める。

このように、控訴人らが脱会説得のための手段として行った拉致監禁行為は、被控訴人らの意思を無視し、身体・行動の自由に対する重大な侵害を加える悪質な行為であり、被控訴人に対しては、本件マンションに連行する際に上記のような強度の有形力が行使されていることなどからすれば、控訴人らの主張を考慮しても、正当行為として違法性が阻却されるということはできない

( 3)原判決3 66行目冒頭から2 3行目末尾までを次のとおり改める。

   「(2)控訴人らは、控訴人らの行為について、正当な目的、動機の下で、相当な手段、態様によって行われ、侵害される利益の種類、程度に比して、より大きな利益を得ることができるので、正当行為として違法性が阻却される旨を主張する。

    たしかに、被控訴人らが、平成1 8年及び平成1 9年に統一協会に献金するため、控訴人両親らに対して虚偽の理由を告げて金員を交付させたことは詐欺行為に該当する疑いが強く、被控訴人らが統一協会のためなら犯罪に手を染めるのも厭わなくなっていると考えて、控訴人両親らが非常な心痛を覚えたことは察するに難くない。被控訴人らとの統一協会脱退に向けた話合いが奏功しなかったことや被控訴人が幼い長女や長男を控訴人妻の両親に預けて韓国に行くなど被控訴人ら自身や子らの生活より統一協会の活動を優先するように見受けられたため、控訴人両親らが本件で監禁行為等に出たことについては、被控訴人らの行く末、生き方を危ぶみ、専ら親としての情愛から、孫らを含め被控訴人らの幸せを願って統一協会から脱退させるためであったと認められる。そして、社会一般において、これまで、統一教会の教義、活動、信者の行動については疑義が差し挟まれ、時には霊感商法などと関連づけられるなどしてその活動に疑いの目を向けられてきたものであり、現に、統一協会の元信者からの統一協会に対する使用者責任に基づく損害賠償請求訴訟において、統一協会信者が宗教性や入信後の実践内容を秘匿して伝道活動を行うことで、相手方の自由意思を歪めて統一協会の教義を信仰するよう導き、教化活動によって家族等との交流を断絶させるなどして信仰を維持させ、金銭拠出等の特異な宗教的実践を継続させようと違法なもので不法行為が成立し、統一協会はその使用者として民法7 1 5条による損害賠償責任が認められるとした判決例も少なからず存する(8 912 、弁論の全趣旨)

しかしながら、統一協会やその信者による伝道・教化活動が、実際に相手方の自由意思を歪めるなど違法に行われたといえるかは、個別具体的に判断されるべきものであるところ、被控訴人らに対する統一協会やその信者の伝道・教化活動にそのような違法があったことを認めるに足りる的確な証拠はない。成人である被控訴人らの意思は尊重されるべきものであり、被控訴人らが統一協会を信仰し、信仰を中心とした生活を送るとしても、それが直接対外的に他の人々や他の団体等の権利や自由を侵害したり、危害等を加えたりするものでない限り、他から干渉されない自由が保障されているものであるといえる。しかるに、控訴人らが被控訴人らを本件マンションに連行し、5 0 1号室において監禁した態様は、上記( 1 )のとおりであり、その行為態様に照らせば必要最小限度の有形力の行使とはいい難い。被控訴人らが、平成2 1年以降も、控訴人両親らに金銭を無心するなどし続けていることを認めるに足りる証拠はなく、そのほか被控訴人らが現に違法な伝道・教化に関与し、又は第三者に対して重大な加害行為に及ぶ危険が切迫した状況にあったことなどを認めるに足りる的確な証拠もない。本件の監禁等に及ばなければならない必要性、緊急性があったことや被控訴人らの意に反してその身体・行動の自由を制約してでも守らなければならない利益があったとも認められない

    したがって、控訴人らの被控訴人らに対する行為について、違法性が阻却されるということはできず、控訴人らの上記主張は採用できない。

 5 争点3 (被控訴人らに生じた損害の有無及び額)について

( 1 )被控訴人に生じた損害    6 11 2 0 0

ア 休業損害             61 2 0 0

証拠(4 42 4 43 )及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、5 0 1号室に監禁されていた期間中、4 . 5日間の有給休暇の取得 を余儀なくされたこと、被控訴人の当時の基本給は4 08 0 0 0円であることがそれぞれ認められるから、上記消費した有給休暇に相当する基本給の額である61 2 0 0( 4 08 0 0 03 0日間×4 . 5日間)について、控訴人らの不法行為と相当因果関係を有する損害と認めることができる。 

イ 慰謝料        5 0万円 

被控訴人は、控訴人らによってその意思に反して5 0 1号室に連行され、平成2 672 6日から同月3 1日までの間、同室に監禁されながら、統一協会からの脱退説得行為を受け続けていたものであり、上記期間中、ハンガーストライキをし、同月3 1日に警察官が臨場した際には救出を求めて叫ぶなどしていたことからすれば、被控訴人は、控訴人らの不法行為によって相当程度の精神的苦痛を被ったことが認められる。 

もっとも、被控訴人5 0 1号室まで連行する際に用いられた有形力の程度は低いものであったこと、5 0 1号室に監禁された期間、被控訴人らが控訴人両親らから献金のための金銭を、その目的を秘して無心したことなどが本件に影響していることがうかがわれること、前記のとおり本件で控訴人らの行為を正当行為と認めることはできないが、控訴人両親らが監禁等に及んだのは専ら親の情愛から出たことであって、客観的に健全な社会通念に照らせば、その危惧に理由がないなどと決めつけることはできないことなどその他本件に現れた一切の事情を考慮すると、被控訴人が控訴人らの不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の額は5 0万円と認めるのが相当である。 

ウ 弁護士費用                  5万円

    控訴人らの不法行為によって被控訴人に生じた弁護士費用相当の損害は、上記ア及びイの合計額の約1割に相当する5万円と認めるのが相当である。                

(2)被控訴人に生じた損害               1 1 02 1 8 0

ア 治療費                          2 1 8 0

被控訴人は、控訴人元信姉の夫を除く控訴人らによる不法行為により、全治2週間程度を要する右上肢擦過打撲傷、右下肢打撲傷、左下肢打撲傷の傷害を負ったところ、証拠(3 4 1 2 )及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、その治療費として2 1 8 0円を支出したことが認められるから同額について上記控訴人らの不法行為と相当因果関係を有する損害と認めることができる。 

イ 慰謝料         1 0 0万円          

被控訴人は、背後から組み伏せられ、手足を縛られた上に寝袋に入れられるという強度の有形力によって身体を拘束され、その意思に反して5 0 1号室に連行され、その一連の連行行為によって傷害を負ったこと、平成2 672 7日から同月3 1日までの間、同室に監禁されながら、統一協会からの脱退説得行為を受け続けて、上記期間中、ハンガーストライキを実施する、話を聞かずに布団に横になる、救出を求めるメールを送信する、トイレに立て籠るなど一貫して控訴人元信姉の夫を除く控訴人らの脱会 説得行為を拒否する態度をとっていたことからすれば、被控訴人は、上記控訴人らの不法行為によって相当程度の精神的苦痛を被ったことが認められる。 

もっとも、5 0 1号室に監禁された期間、上記(1)イのとおり被控訴人らの言動が本件に影響していることがうかがわれることなど上記(1)と同じく本件に現れた一切の事情を考慮すると、被控訴人が控訴人元信姉の夫を除く控訴人らの不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の額は1 0 0万円と認めるのが相当である。

ウ 弁護士費用              1 0万円

控訴人元信姉の夫を除く控訴人らの不法行為によって被控訴人に生じた弁護士費用相当の損害は、上記ア及びイの合計額の約1割に相当する1 0万円と認めるのが相当である。

 6 結論

以上の次第で、被控訴人の控訴人らに対する請求は、6 11 2 0 0円及びこれに対する不法行為の終了日である平成2 673 1日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、被控訴人の控訴人尾島、控訴人元信の姉、控訴人夫の母、控訴人妻の父及び控訴人妻の母に対する請求は、1 1 02 1 8 0円及びこれに対する不法行為の終了日である平成2 673 1日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、その余の各請求は理由がない。

よって、被控訴人らの請求について、当裁判所の上記判断と異なる原判決主文1項ないし3項を本判決主文1( 1 )ないし(3)のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。

 

広島高等裁判所第2

                 裁判長裁判官        三木昌之

                 裁判官        光岡弘志

                 裁判官        冨田美奈

  • 我らの不快な隣人

    ルポライター米本和広氏が、拉致監禁によって引き起こされたPTSD被害の実態をレポート。

    ►第6章 掲載
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  • 日本収容所列島

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