統一教会の信者に対する、拉致監禁・強制改宗について、その根絶を求めます。有識者の声。国境なき人権報告書(棄教を目的とした拉致と拘束)の結語と勧告
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有識者の声


国境なき人権報告書

棄教を目的とした拉致と拘束

第四章:結語と勧告

「国境なき人権」は客観的で信頼できるさまざまな情報源に当たった。その結果、近年減少しているとはいえ、長期間にわたり執拗に繰り返されてきた強制棄教を目的とする拉致の存在を確認できた。それらの情報源には、調査報道で有名なジャーナリスト 、元国会議員、拉致被害者、拉致を行った親、弁護士、心理学者、宗教学者が含まれている。親たちや脱会カウンセラーに裁判所が下した判決文もまた、この問題の存在を裏付けている。



この現象は統一教会に多大な損害を与え、程度は小さいがエホバの証人にも影響を及ぼした。統一教会は日本での宣教当初から標的にされてきた。その理由は重層的であるが、決定的に重要なことは次の通りだ。①韓国に由来する新宗教であったため、日本では歴史的理由から反感が醸成されやすい、②統一教会はキリスト教であると主張しているが、プロテスタント教会からは危険な異端と見なされてきた、③統一教会では信徒の配偶者選びに肉親の同意を軽んじて、新たな真の父母と称する文師夫妻が韓国や米国で合同結婚式を挙行するなど、日本の家庭文化に抵触して物議を醸しやすい、④いわゆる霊感商法 や「青春を返せ裁判」で不利な判決があり、マスコミに大きく取り上げられた、⑤ 新たな信者獲得のための手法、⑥資金づくりの活動。

加えて、宗教に対する一般的な不信感と、海外から入り込んだ宗教運動への幅広い反感 があり、問題の火種がなかなか消えない原因となってきた。

宗教間の対立も火に油を注ぎ、「異端との対決」という口実のもと、既成教会の指導者らは、陰で焚きつけるという行動にまでは出なかったとしても、少なくとも事態を黙認してきたのである。

文化や習慣によって個人や社会の特定の態度について説明はできたとしても、それらを正当化することはできない。いわんや国際的な人権法規の観点からは無理な相談である。日本における拉致・監禁または身体拘束、いわゆる「家族の話し合い」や成人に対する「保護」、新宗教の信者に対し強制的に脱会カウンセリングをする等の行為は、人権の原則とは相容れないものであり、断固非難されるべきだ。こうした行為の故に、思想や良心の自由、宗教や信念の自由、移動の自由などが、公権力を有しない当事者の手で甚だしく侵害され、それを警察が黙認して彼らは何の罰も受けずにいる。市民はそれらの犯罪から保護されず、宗教の違いを理由に差別を受け、不公平に扱われている。

日本政府は、国際的な人権文化と社会の法規ならびに法的諸制度が一致するよう一層の努力をすべきだ。そして、国際的人権擁護義務に反するような国内の法執行機関や裁判所のあり方を是正すべきである。


「国境なき人権」からの勧告

日本政府に対して
  • 法務省内に「宗教の自由に関するオンブズマン」を配置し、強制的に宗教を変えさせる目的での拉致および拘束によって宗教の自由が侵害されている状況を調査させる。
  • 国会は、被害者、警察・司法当局および国際的な人権専門家、ならびにディプログラミングに対して変化してきた欧州人権裁判所や欧米各国裁判所の法的基準に詳しい人権弁護士らを招いて、公聴会を開くべきである。
  • 警察庁は、本報告書に記述された事例が実際にどのように処理されたのかについて独立の内部調査を実施し、当該の犯罪捜査を継続するとともに、過去になぜ捜査をしなかったのか実態を究明すべきである。
  • 警察と司法当局は、成人の子が宗教に関与した際、家族として採れる手だての範囲と限界について、一般市民に法律に基づく明確なガイドラインを周知させるべきだ。
  • 警察と司法当局は、成人を監禁下で強制棄教させようとする拉致行為に直接間接に関与した人々を起訴すべきであり、刑事事件化を差し控えるべきでない。
  • 公務員が当然の責任を果たさなかったり、犯罪実行者との何らかの結託が判明したりした場合は、然るべき懲罰を課すべきだ。
  • 拉致・監禁の被害者たちに、公式に謝罪すべきである。
  • 日本政府は「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第一選択議定書に調印し、これを批准すべきである。

日本と世界の市民団体に対して
  • 日本国民は法律違反行為を当局に通報し、もし当局が不作為なら抗議をするなどして、同国民を拉致犯罪から守るべきだ。
  • ジャーナリストは家族による強要行為の事例を調査し、もっと世間に率直にアピールして、問題に対する認知度を高め議論を深めるべきだ。マスメディアは問題を客観的に記録し公開すべきだ。
  • 日本国内および世界の人権団体はこの問題に言及し、もっと多くの被害者が声を大にして事態の打開に必要な情報を公開し、また責任の所在を明らかにしていくべきだ。日本や世界の人権NGOは、日本政府が同意している人権擁護義務を政府自身が遵守できるよう支援すべきだ。
  • 国内および世界のNGOは、国連の普遍的定期的レビュー(UPR)のプロセスに提出するため、また宗教の自由に関する国連特別報告官に提出するため、さらに市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)に準拠しているか否かの審査が日本に対して実施されるのに先だち国連人権委員会に提出するため、報告書を作成すべきである。

国際社会に対して
  • 日本と双務的関係を持つ国々は、日本が国民を犯罪から保護できないでいることに懸念を表明すべきだ。特に米国国務省と欧州連合は、日本政府との折衝の際や報告書の中で、この問題に言及すべきだ。米国の「国際宗教自由委員会」は、この問題に適切な関心を注ぐべきである。
  • 国連の加盟国は、UPRプロセスで日本の人権状況を審査する際に、この問題を取り上げるべきだ。国連人権委員会は「規約」に関する日本の遵守状況を次に審査する際に、この問題に集中すべきだ。
  • 宗教・信条の自由に関する国連特別報告官は日本を訪れ、宗教団体のメンバーが拉致され、しかもその犯罪が取り締まられていない状況を調査し、この問題を人権理事会に報告すべきである。

  • 我らの不快な隣人

    ルポライター米本和広氏が、拉致監禁によって引き起こされたPTSD被害の実態をレポート。

    ►第6章 掲載
  • 人さらいからの脱出

    世にも恐ろしい「人さらい事件」に関わった弁護士、牧師、マスコミ人らの非道な実態を実名で白日のもとにさらす。

    ►書籍紹介
  • 日本収容所列島

    いまなお続く統一教会信者への拉致監禁。小冊子やパンフレット、HP等で告知してきた内容をまとめました。

    ►書籍紹介

URLから
http://kidnapping.jp/m/
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