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緊急リポート 消えた婚約者

2.本人の意思確認ないまま バイアスかかる警察の対応

2010.8.4 世界日報紙掲載


菅野江里子さんが婚約者の失跡で相談に訪れた杉並警察署(東京都杉並区成田東4)

江里子さんは、Nさんの失跡が明らかになった翌日、Nさん宅最寄りの東京・杉並警察署に出向くと、窓口で生活相談課を紹介された。対応した一花剛・防犯係巡査部長は、婚約者宅の見回りや所在確認に尽くすことを約束してくれた。

また江里子さんは、統一教会の信者がこれまで受けてきた拉致監禁のケースとNさんの失跡が酷似しているから、至急対応してほしいと訴えた。しかしその点について、同巡査部長は「心配するに及ばない」と答えるだけだった。

1週間後に、一花巡査部長から「(Nさんの)両親と連絡が取れ、居場所が分かった」と電話があった。「両親が『(Nさんは)自由に出入りできる(所にいる)』と言っている。本人と連絡が取れてはいないが、事件性は無く、家族の話し合いだ」という内容だった。

そこで、江里子さんが「出入りが自由ならなおのこと、婚約者の私も連れて行ってほしい」と頼むと、「待ちなさい、彼と親を信じなさい、警察が顔を確認している」と、今度は、有無を言わさぬ調子の声が聞こえてきた。

電話ではらちが明かないので、江里子さんは弁護士を伴い再度、杉並署を訪れた。一花巡査部長は「これは親子3人、今仲良く大事な話をしているところなんです」と、前回の話の繰り返し。ところが、Nさん本人の意思確認の有無を尋ねると、同巡査部長は「(確認)していないですよ」と、あっさり意思の未確認を認めた。

江里子さんが「それはおかしい。彼の意思確認を、約束してくれましたね。確認してください」と求めたが、「必要ない」「抗議であれば聞きません。お帰りください」と険しい表情となり、対応が一変した。

弁護士が「こちらは、本人の意思さえ確認できればいいんです」と口添えすると「そんなに、あなた、自信があるんだったら、お探しになったらいいじゃない」と、一花巡査部長は居直り、一方的に話を打ち切ってしまった。

その後、江里子さんは何度か、杉並署と連絡を取ったが、応答は変わらなかった。

記者が7月29日、この件で杉並警察署の大河内泰弘副署長に行った電話取材のやりとりは以下の通りである。

−Nさんが失跡して45日たち、婚約者が大変不安がっているが。

「事件性はないですから、捜査はしていません」

−では、警察はNさんの所在を確認したか、あるいは保護しているのですね。

「いや、Nさんの所在はまだ把握していません」

−失跡から45日もたち、本人の所在が分からないのに「事件性はない」というのは矛盾ではないか。

「こちらでコメントするのは差し控えたい。警視庁の広報を通して取材を行ってほしい」

Nさんの所在について、一花巡査部長は「居場所が分かった」と江里子さんに告げ、大河内副署長は「所在を把握していない」と記者に答え、話が食い違う。それでいて、どちらも「事件性はない」と言う。

そこで、警視庁広報課に事情を説明すると「取材を受けるかどうか分からないが、後ほど連絡する」との回答。だが、3日現在、その後の連絡はない。

大河内副署長の言う「本人の所在は把握していないが、事件性はない」という説明は、まったく理屈に合わない。

もし、本人の所在をつかんでいる、と言ってしまえば「では、婚約者の江里子さんをなぜ会わせないのか」ということになる。その事態は避けたいという意図が透けて見える。

婚約者失跡という事件性濃厚な事案に対して、バイアスがかかっているような警察の対応は、その公正中立の立場で市民を守る義務遂行を果たしていると言えるのか、という疑義がぬぐえない。

(「宗教の自由」取材班)

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拉致監禁 侵された信教の自由
続・拉致監禁 侵された信教の自由
世界学生新聞 号外 1993.5.15
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