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拉致監禁 侵された信教の自由

2.実態暴露した小出浩久さん

拉致現場に現れた弁護士 監禁状況に「違法性なし」の認識

2009.6.24 世界日報紙掲載

小出浩久さんの著書

都内の病院に内科医として勤務する小出浩久さん(46)は、手荒な改宗請負で知られる宮村峻氏率いるグループに、平成4年6月から実に2年に及ぶ拉致監禁・監視の生活を余儀なくされた経験を持つ。


小出浩久さんの著書
人さらいからの脱出

これまで多くの信者が、密閉された空間に閉じ込められ、執拗に教祖家庭に対する中傷、教理への細かい追及、教会活動への一方的非難を浴びせられた。その一方で、泣きながら訴える肉親に対する情の板挟みで、ついには信仰の断念に追い込まれてきた。

本人の自由意思を全く無視しての“強制改宗”で深く傷つく人も多い中で、小出さんも深い心の傷を負ったが、拉致監禁中の態度は異色だった。

幼いころから天理教の信仰を持ちながらも、神について納得できないモヤモヤを抱えていたという小出さんは、その疑問が教えを聞いて解けたという。多くの神体験もしたとも語る。

「ですから、拉致されている間も、1日たりとて神様が自分に恵みをお与えにならない日はない」という確信を持って過ごせたという。脱会させようという牧師の聖書の話にさえ「聖霊体験をした」とも。だが負わされた心の傷は容易に癒えず、解放後も監禁体験が就寝中悪夢としてよみがえり、心身を悩ませる日々が最近まで続いた。

監禁の様子をまとめた『人さらいからの脱出』は、反対派の実態を暴露したため「反対派の中では、『禁断の書』になっているようです」と小出さんは残念がる。

小出さんは監禁されてからしばらくの間、改宗を迫る人たちに「基本的人権を無視した暴力的宗教迫害をやめていただきたい」と朝から晩まで何度も繰り返した。ただ、それだけを訴えた。同じメッセージを繰り返し語れば、それは相手に届くと確信していたからだという。

小出さんのこの発言に「犯罪行為を行っている集団に、基本的人権などない」と誰かが反論すれば、相手側に「いや、たとえ容疑者でも弁護人がつく人権はある」と感じる人も出てくるだろう。また小出さんの態度に身内が怒って暴力を振るえば「やはり暴力的迫害ではないか」と思う人も出てくる――。小出さんのこうした「確信」に、反対派の中に次第に動揺が生まれたという。

その動揺を抑えるために、宮村氏が連れてきたのが平田広志弁護士だった。同弁護士は、ドアの取っ手にチェーンが巻きつけられ、窓は開けられないように固定され、外に逃げ出さないよう見張りまでいる状況を見ながら、家族に向かってこう断言したという。「こういう状況が違法であるとは認められていない」

それを聞いた小出さんは「これが違法ではない? 弁護士までグルか……」とこの時ばかりは全身から力が抜けたと、当時の心境を語る。

「基本的人権を守るのが弁護士本来の仕事のはず。だが、平田弁護士の言動は、人権も信仰の自由も否定するものと言わざるを得ない」。この場面にも言及した小出さんの本が出てすでに10年がたつ。今でも平田弁護士はこうした認識を持っているのか、と小出さんはなお問い掛ける。

本紙の取材に対し、平田弁護士は「確かに小出さんの両親の依頼で、本人に会いました。しかしドアの取っ手にチェーンが巻き付けられていたかどうかは知りません。従って、小出さんの本にある私の発言もなかった」と語るのみだ。

(「宗教の自由」取材班)

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世界学生新聞 号外 1993.5.15
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