
“宗教批判の道具”とされた宗教二世問題。親子愛深める番組を。
“宗教批判の道具”とされた宗教二世問題。親子愛深める番組を。
「親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する」
基本的人権尊重の原則を定めた「世界人権宣言」(1948年、国連採択)26条にある一文だ。親が信仰する宗教を子供に伝えるための教育を行うことは親の当然の権利だから、子供が未成年の場合、宗教を持つ多くの家庭が行っていることだ。筆者もよく祖母から仏壇の前に座らされて意味も分からないお経を唱えさせられた。
現在、世界平和統一家庭連合(旧統一教会=教団)バッシングの一環で、テレビの情報ワイドショーが積極的に取り上げる「宗教2世」問題は、親の宗教を信じることができなくなっただけでなく、信仰問題をきっかけに、親との関係に葛藤を抱えるようになった成人のことだ。親子の溝がのっぴきならないところまでいき「反統一教会」運動に走る若者もおり、テレビは好んでそんなケースにアプローチする。教団批判の材料になるからだ。
「子供は自分と同じ道を歩んでほしい」と願う親は多い。心から子供の幸福を願ってのことだろうが、そこに自分のエゴを潜める親もいる。いずれにしろ子供の自由意思の尊重が基本である。ただ、宗教の場合、「救い」の問題になるから、進学・就職の進路選択とは違った次元のテーマで、メディアが扱うには難しい。
それでも、表面的な教団批判に終わらず、親が子供に強制的でなく自然に信仰を伝えるにはどうすべきか。たとえ子供が親の宗教を信じることができなくとも、親子の絆を強く保って仲良く暮らす道はないのか。そこに視点を置いて視聴者に考えさせる番組があれば、両者が心のわだかまりを解くだけでなく、逆に家族愛を深めることに役立つであろう。そんな番組がないのは、映像ジャーナリズムのレベルの低さを表している。
記事の続きを読む(世界日報 2022年9月5日)
※タイトルを本会の趣旨にあわせて一部変更して表記しました。