信者が拉致・監禁され、ディプログラマー(脱会屋)から強制棄教を迫られる恐怖と胸痛む現実

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⭕拉致監禁は信仰だけでなく、人間としての根源的な部分まで根こそぎ剝奪する行為(徳川家当主 徳川家広氏)

米本和広著「我ら不快な隣人」への書評 徳永家広氏(PLAYBOY 2008.11)

徳川家広:政治経済評論家、翻訳家、作家。徳川宗家第19代当主。公益財団法人徳川記念財団理事長、長崎大学国際連携研究戦略本部客員教授、特定非営利活動法人公共政策調査機構顧問。

■“親による拉致監禁は信仰を剥奪するだけにとどまらず、 信者が入信する以前から培ってきたもの、 人格といえばいいのか、信仰の土台である人間としての根源的な部分まで根こそぎ剝奪する行為なんですよ。


子供の困った信仰心を捨てさせるのに、拉致監禁のうえで、拷問としか思えないような「説得」を続けるという親たちの愛は、いったいどれだけまともなのか。それこそが、今回取り上げる「我らの不快な隣人」のテーマである。著者は、オウム真理教など、近年のカルト関係で読ませるルポを何冊か書いてきた米本和広だ。本書も丹念で情熱のこもった取材ぶりで、文句なしの力作と言えよう。

子供が統一教会信者になったことに慌てた親は、脱洗脳のエキスパートを自称する人たち(主にプロテスタントの牧師)の指示に従い、その協力を得て、集団でわが子を襲って連れ去り、マンションの一室に閉じ込めてしまう。そして、子供を罵倒し、恫喝し、時には暴力をふるって、なんとか信仰を捨てさせようとする。信者たちは家族の非道な扱いから受けた衝撃で心を病むようになり、強烈なアトピー症状を出す者もいれば、自殺してしまう者もいる。

問題の根っこにあるのは、脱洗脳エキスパートたちが、依頼してきた家族や、彼らが救うべき若者の幸せよりも、自分や自分の教団の利害を第一に考えて行動しているとしか思えない点のようだ。

みんな、生臭く、しかも目的をはき違えているのである。それに、わが子の言うことに、全然耳を貸さない親たち。結果として、統一教会に入信してしまうほどに混乱している若者たちが、ひたすら苦しむことになる。日本社会の実に嫌な、だが誰にでも覚えのあるであろう一面が浮き彫りになった、貴重な一冊だ。

PLAYBOY 2008.11 『我らの不快な隣人』米本和広著


 

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