4300人の信者が「拉致監禁」され、強制棄教の恐怖と闘った 余りに過酷な現実

報道・証言・有識者の声

拉致監禁・人権侵害に向き合い
共に声をあげてくださった方々

  1. HOME
  2. ブログ
  3. エビデンス
  4. ⭕拉致監禁と統一教会訴訟ー“仕組まれた”不法行為訴訟の急増(弁護士 パトリシア・デュバル氏レポートより)

⭕拉致監禁と統一教会訴訟ー“仕組まれた”不法行為訴訟の急増(弁護士 パトリシア・デュバル氏レポートより)

2024年9月25日にジュネーブで発表された、国連をはじめ様々な要人や機関に提出された報告書より抜粋して紹介します。※見出しは本会で補足

日本:統一教会を根絶するための魔女狩り(フランス国際弁護士 パトリシア・デュバル氏)

 

拉致監禁と統一教会訴訟ー“仕組まれた”不法行為訴訟の急増

 

日本政府からお墨付きを得て行われた30年以上にわたる統一教会信者に対するディプログラミングの結果、ディプログラマーと反カルト弁護士組織によって棄教させられ、説得された元信者らが、教会を相手取って起こした不法行為訴訟が雪崩のように起きた。

 

全国霊感商法対策弁護士連絡会の設立とその背景

イメージ図

 

この組織は、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下「全国弁連」という)と名付けられ、社会党や共産党に近い運動であり、統一教会が公然と共産主義と戦っていた時代に、統一教会と戦うために1987年に設立された。

実際、全国弁連は、旧統一教会の友好団体である国際勝共連合(IFVOC)が当時推進していたスパイ防止法の制定を阻止するために作られたものだった。当時、全国弁連の主要メンバーだった山口広弁護士は、その発足式で「霊感商法で得た金が、統一教会と勝共連合のスパイ防止法制定運動の資金として使われている」と発言した(Fukuda 2023, 52)。これらの弁護士は、教会が「霊感商法」で得た金が、共産主義と戦うために使われていると主張した。

「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、消費者法にヒントを得て、かつて教会の信者の一部が(主に彼ら自身の私的企業によって)行っていた商法を指し示している名称だ。彼らは印鑑、彫像、壺、ミニチュアの仏塔などを、本来の価値よりかなり高い値段で販売していたが、こうした慣行はカトリック教会などの一部の伝統的宗教にも見られる。

全国弁連は、統一教会とその活動を支援するために行われた寄付に対しても「霊感商法」というレッテルを貼った。地獄と救済の概念はほとんどの宗教に共通する信仰であるにもかかわらず、彼らは、統一教会は永遠の救済を「販売」し、信者に不安を抱かせて寄付を獲得していると主張した。

 

霊感商法に対する全国弁連の主張

イメージ図

 

「霊感商法」は反カルト活動家が作った言葉で、宗教的マイノリティへの寄付を消費者法の問題とみなし、詐欺的な商法として寄付者への返金請求を可能にするものである。この用語は、他の国の反カルト運動によっても使われており、例えばドイツでは1997年に、反カルト団体が「人生の困難を克服することを助ける商業サービス」(「人生支援」)と呼ぶ行為を規制する法案が提出され、この法案は反カルト協会によって「サイコ契約法」と呼ばれた。

1997年夏、ドイツのルーテル教会とカトリック教会の代表は、国会の上院である連邦参議院に共同声明を送り、法案の厳しい制限が彼らの教会にも適用され、特に彼らが提供する精神的なカウンセリング・サービスへの報酬にも適用され得ることに対する懸念を表明した。その後、法案は廃案になった。( Duval 2012, 214-15を参照)

全国弁連の弁護士らは、統一教会への寄付は、こうした信仰に基づいて「不安を煽り」、寄付者の「自由意志」を奪うことで得られたものと推認すべきだと日本の裁判所を説得することに成功した。

全国弁連の弁護士らは消費者法に基づく論法で、寄付金を集める教会員の信仰を無視し、彼らの動機はもっぱら営利であると主張している。信者らが告白する信仰は、新たな信者を騙すための隠れ蓑にすぎないとみなされるべきだと弁護士らは主張している。

 

拉致間監禁されディプログラミングされた元信者が起こす訴訟の裏側

 

監禁され強制的に棄教を強要された元信者は、ひとたび棄教すれば全員が、違法な寄付金勧誘や布教活動を理由に教会を訴えて損害賠償を得るため、ディプログラマーや家族によって全国弁連の弁護士を紹介される。
社会学を専攻した有名なフリージャーナリストの福田ますみ氏は、この現象全体を徹底的に調査し、数多くの「ディプログラミングを受けた」信者にインタビューした。その後、彼女は調査結果を記した意見書を政府に送り、解散請求をしないよう求めた(Fukuda 2023)。

彼女は、日本には身体的暴力や欺罔(ぎもう)によって拉致され、アパートやその他の場所に長期間監禁され、棄教するまで解放されなかった信者が4,300人以上いるという数字を挙げた。

彼女は、不法行為を主張する原告のほとんどが、そのような過程を通過して、損害賠償請求訴訟を起こした信者らであり、彼らはこうした行動に出ることによって、真に教会を脱会する意志があったことを証明しなければならなかったと結論づけた。

 

全国弁連と脱会屋の影が潜むディプログラミングの手順

イメージ図

 

彼女はディプログラミングのプロセスと、それに続く不法行為に基づく民事訴訟について以下のように詳しく説明した。

日本における17世紀のキリシタン迫害では、彼らの命を救うには当局に対して自分はキリスト教の信仰を棄てたと告げるだけでは不十分でした。彼らはもはやキリシタンではないことを証明するために、イエスの絵を踏むことを求められたのです。同様に、ディプログラムされた信者たちも、彼らがもはや統一教会の信者ではないと告げるだけでは不十分でした。彼らは自分が「霊感商法の被害者」であったと主張し、購入した大理石壺や多宝塔、印鑑などの物品の代金の返還を教団に要求する訴訟を起こすことによって、彼らが本当に教会を離れたことを証明しなければならないのです(Fukuda 2023, 54-5)。

彼女はまた、反統一教会の弁護士連絡会がディプログラミングの問題に深く関与しており、最終的に棄教に同意した人々は皆、教会を訴えるために組織的に彼らを紹介されていたと指摘した。彼女は以下のように書いている。

全国弁連もこの拉致監禁に深く関与しています。元信者が、教団に対して行う訴訟を優先的に担当するからです。弁護士たちはこれで潤いますし、脱会屋やキリスト教の牧師たちも、元信者の親族から謝礼と称して、かなり多額の金品を受け取ります(Fukuda 2023、55)。

実際、連絡会の弁護士は、ディプログラミングを通じて親族を棄教させるよう家族に助言するなど、ときには最初からこのプロセスに関与することもあった。

弁護士たちは信者の親から相談を受けると,まず脱会屋を紹介し,拉致監禁により脱会に成功すると、今度は脱会屋から元信者を引き継いで原告に仕立て上げて訴訟を起こすのです。紀藤弁護士や有田芳生氏、鈴木エイト氏ら反統一教会陣営は、いまだにこの信者に対する拉致監禁を『保護説得』であると強弁しています(Fukuda 2023, 55)。

政府が教会の解散を請求する上で根拠とした不法行為訴訟の一つに、原告3人が家族に拉致監禁され、本当のキリスト教の教えは統一教会とはなると「説得」しようとしたプロテスタント牧師2人によるディプログラミングの対象となった事件がある(神戸地方裁判所、2001年4月10日判決、事件番号9。同裁判所は請求を棄却したが、大阪高等裁判所は2003年5月21日に地裁判決を破棄し、原告に損害賠償を認めた)。

原告らは「詐欺的かつ洗脳的な伝道」を根拠に損害賠償を請求した。ディプログラミングの後、原告らは教会の教義が無意味であると信じるようになり、脱会を決意した。

 

ディプログラマー高澤守牧師の証言

イメージ図

2人のディプログラマーのうちの1人である高澤守牧師は、口頭弁論の中で主尋問・反対尋問を受け、次のように証言した(神戸地方裁判所、証人調書、1996年3月26日、81ページ):

Q:証人がいままでやってこられた救出活動に対して被告統一協会のほうがあれは拉致監禁であるというふうに非難していることはご存じですね。

A:はい、知っております。

Q:そういう非難に対してはどのようにお考えでしょうか?

A:これはやっぱり拉致監禁ではなくて、親御さんが一緒なわけですからあくまでも保護と心得ております。

彼は続けて述べている。

Q:拘束しだしたのはいつごろからですか。

A:いま申し上げましたように、10年ぐらい前からだと思いますが。それは私だけではなくて、全国的なそういった救出に携わってくださってる牧師さんたちの大体統一した、そういうことだと思います(神戸地方裁判所、証人調書、1996年5月21日、25ページ)

その後、このディプログラマーは、この行為が通常は違法であることを知りつつ、以下の理由により継続するつもりであったことを法廷で認めた(神戸地方裁判所、証人調書、1996年3月26日、81-82ページ)

Q:ただ、救出活動を受けなくても自然脱会したり、それから統一協会から離れていったりというような人はいるんでしょう?

A:もうしっかり統一協会の信仰を持たれた方は、自然脱会ということは私は不可能だと思います。

まさに、統一教会信者の揺るぎない信仰を打ち砕くためにディプログラミングの技法が創出され、政府の庇護下、家族による「全国的な」活動へと発展したのである。

 

不当な影響力の理論と統一教会への解散請求

 

信者が篤実な信仰と強い信念を有していたという事実が持つ意義を無力化するために、「不当な影響力」または「洗脳的伝道」の理論が捏造されたのであり、この理論が、親たちにこの種の「保護」を実践するよう助言した全国弁連の弁護士たちが提起したすべての不法行為の申し立てを基礎づけた。

これらの弁護士が国際人権法に違反する行為に関与したと思われ、現在に至るまでそのような行為を推奨しているという事実はさておいても、問題は、彼らが長年にわたり日本の裁判所から一連の不法行為判決を獲得することに成功し、それが教会に対する解散請求に利用されたことである。

日本の裁判所は、献金を返還するよう命じる判決を正当化するために、原告らが献金したときには強い信仰心を持っていたとするディプログラマーの証言を聞いた後でさえ、統一教会による「不当な影響力」の理論を支持してきた。

この「不当な影響力」を根拠に、裁判所は統一教会の活動を「違法」と判断したのであり、ディプログラマーらの証言を基にしたこうした判決は、政府の解散請求の根拠にされているのである。

本レポートの全文はこちら

関連記事