4300人の信者が「拉致監禁」され、強制棄教の恐怖と闘った 余りに過酷な現実

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「マインド・コントロール言説」と「拉致・監禁」の不可分な関係サムネイル

マインドコントロール言説は「拉致監禁正当化」の恐ろしい虚説

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1. 脱会カウンセリングの根拠としての「マインド・コントロール言説」

 

日本において、マインド・コントロールの概念は、スティーヴン・ハッサン氏著『マインド・コントロールの恐怖』の翻訳(1993年)を通じて広まりました。

この著書とともに、西田公昭氏著『マインド・コントロールとは何か』が脱会活動を行う人々に広く読まれています。

ハッサン氏は「信者はマインド・コントロールされた状態にある」と強調します。

宮村峻氏に代表される「脱会カウンセラー(脱会屋)」は、両親や親族に対し

「信者となったお子さんは、いまや自分の意志がなくなって、その行動さえも本人の選択ではない」

と強調し、(成人であり、社会人として生活している)信者の人格そのものを否定する見方を植え付けていきます。

「信者はゾンビか、操り人形」とでも言いたいのでしょう。

渡邊太氏は、「マインド・コントロール理論がもっとも影響を及ぼしているのは、カルト信者の救出活動の実践に対してである」と述べています。

また、大田氏はこの状況を批判し、「マインド・コントロールを解くためには、それを受けている場から遠ざけなければならないという理由から、信者を暴力的に拉致する」と警告しています。

実際に、これまで4300人が隔離・監禁されてきました。

 

強制的な脱会行為をビジネス化

 

脱会屋は、このマインド・コントロール理論を用いて、両親や家族に「息子や娘を救うには、拉致監禁を実行するしかない」と吹き込み、強制的な脱会行為をビジネス化させてきました。

ところが、現実は彼らの“思い込み”と異なります。

全国何万人もの信者が平穏な日常生活を送っています。

「自分の意志」で仕事をし、友人と話し、家族と向き合い、教会にも通っています。隣近所との交流もあります。

現役信者は当然ながら自分の意思で生活しており、それを第三者が「それは、あなたの意思ではないはずだ」と人格否定するのは、まさに「家庭連合信者には人権を認めない」と言っているのと同義です。

拉致監禁や強制棄教は、脱会屋や全国弁連が“家庭連合潰し”を目的とした、「カルト的犯罪行為」と言えるでしょう。

脱会屋に教え込まれた信者の悲惨な姿(架空の姿)と、現実の息子・娘の“普通の”生活(現実の姿)とのギャップに驚き、拉致監禁実行後に後悔する両親が少なくない(証言)。

 

2. 「私は教会にマインド・コントロールされていた」という背教者の主張について

 

一方で、拉致監禁で脱会強要された元信者たちが「自分は統一教会によってマインド・コントロールされた」と主張する事例も存在します。

ただし、それは「感情論理」に基づいています。

過去の自分の信念や良き思い出を脱会説得によって「強制リセット」するためには、「自分ではなく、教会が悪かった」「教会にマインド・コントロールされていた」という脱会カウンセラーの吹き込んだストーリーが最も好都合なのです。

実際に、自然脱会した者に比べ、拉致監禁で教会を離れた者は「洗脳」や「マインド・コントロール」を主張する傾向が強くなります。

拉致監禁により「心の拠り所」が破壊され、さらには教会を怨むよう誘導された元信者(キリスト教では“背教者”と呼ばれます)が、「自分は騙されていた(マインド・コントロールされていた)」と主張する姿は、大変痛ましいものがあります。

 

信者自身の選択の責任を無視することの危険性

 

ただし、その言動を根拠に「教会は信者をマインド・コントロールしている」と断定するのは筋違いです。

櫻井義秀氏は著書の中で、「マインド・コントロール論は、自己の経験を二重に解釈する語り口でしかない」と批判し、信者自身の選択の責任を無視することの危険性を指摘しています。

自分で離れた自然脱会と異なり、拉致監禁では自分の意志に反して“強制リセット”される。教会を全否定する論理がなければ、正常な精神状態を保つのは容易ではないと思われます。(証言

 

3. 解散命令請求とマインドコントロール論

 

2023年10月13日、盛山正仁文部科学大臣は、世界平和統一家庭連合(家庭連合)に対する解散命令を東京地裁に請求しました。

その理由として、教団が長期間にわたり自由を制限し、正常な判断を妨げ、多くの人々に損害を与えたことを挙げました。

この「自由に制限を加え正常な判断が妨げられる状況」は、いわゆる「マインド・コントロール」を指し、家庭連合がこれにより信者を獲得し、多くの被害者を生み出してきたとされています。

この解散命令請求を下した政府・文科省の判断には、紀藤正樹弁護士や脱会屋の「マインドコントロール論」の影響が強く見受けられます。

現役信者に対して「自分の頭で考えられない欠陥人物」と評価しているのです。

実際に、岸田政権や文科省は家庭連合信者の声に一切耳を傾けようとしませんでした。

政府が「信仰を持つ日本人」に対してその人格や尊厳を認めず、「マインドコントロールされた人」と蔑み、そのために「話す必要もない」と評価することは、マイノリティ宗教への迫害や人権侵害であり、到底許されないことです。

 

4. 米国ではマインドコントロールは疑似科学、法廷も否定

 

アメリカの宗教社会学者マイケル・W・アシュクラフトは、2018年に「新宗教研究の歴史概論」を出版し、カルトという概念が科学的根拠を欠き、洗脳やマインド・コントロールが疑似科学であると指摘しました。

この見解は、日本の宗教学者にも広く認識されています。

アメリカの学会では、「洗脳」や「マインド・コントロール」が疑似科学として定着しており、法廷でもこれらの主張は否定されています。

アメリカにおける「マインド・コントロール論」の理論的支柱は、反カルト運動に専念する心理学者マーガレット・シンガー博士によるものでした。

画像引用元:マーガレット・シンガー-洗脳の専門家-SFGATEより

彼女は新宗教への回心を「洗脳」や「マインド・コントロール」として科学的に裏付けようとしましたが、1987年の「モルコ・リール対統一教会」の裁判では、アメリカ心理学会が彼女の理論を「科学的裏付けを欠く」として否定しました。

この判決により、シンガー博士の証言は法廷で受け入れられなくなりました。

アメリカにおけるディプログラミング(拉致監禁・強制棄教)は1970年代がピークであり、1980年代には沈静化し、1990年代にはほぼ事件が起こらなくなりました。

1995年には、暴力的な拉致監禁強制改宗を手配していた団体(CAN)が、法廷で多額の懲罰的罰金の支払いを命じられ、破産しました。

日本でも「マインド・コントロール言説」は拉致監禁・強制棄教を正当化する論理として使われてきましたが、学問的には確立されていません。

日本の宗教学者もこの言説に対して批判的であり、例えば統一教会を相手にした「青春を返せ」裁判では、法廷が「マインド・コントロール」の主張を却下しました。

 

5. 札幌「青春を返せ」裁判の事例

 

札幌での「青春を返せ」裁判は、元信者が身体的拘束を受けた状態で説得され、脱会に至った事実を如実に示しています。

この裁判は1987年から2001年までの14年以上にわたりました。

原告21名の75%(16人)が物理的拘束下で脱会説得を受けたことを証言しています。

実は、文科省が提出した裁判事例にも、同裁判の原告が含まれているのです。

原告のOさんは両親によって監禁されたことを明言し、UさんやTさんは部屋に鍵がかかっていたと証言しています。

このように、元信者たちが「マインド・コントロールされた」と主張する背景には、拉致監禁による身体的拘束と脱会強要のプロセスが影響しています。

もし彼女らの両親が脱会屋と出会っていなければ、拉致監禁されなければ、彼女ら自身が教会を恨んだり、裁判の原告になることはなかったでしょう。

牧師本人の証言映像

北海道で「マインドコントロールを解くため」の拉致監禁を実行していたという牧師本人の証言映像

 

6. 拉致監禁がPTSD発症原因となっている

 

拉致監禁・強制棄教は、監禁という外的要因に加え、「マインド・コントロール言説」を用いた人格否定の説得が被害者にとって外傷体験となり、PTSDを発症する原因となることがあります。

脱会後に精神疾患・精神不調を起こす原因は、脱会カウンセリングを受けた影響が大きいと考えられます。(証言

拉致監禁の背後にある理論は、実際には被害をもたらすだけものであり、正当化されうるものではありません。

メディアの取材に応じる宿谷麻子さん(当時)。彼女の日記「夜桜餡」

拉致監禁被害者・元信者として「PTSD被害の恐ろしさ」を訴え続けた宿谷麻子さんが綴った日記は、痛ましい記録の連続です。

宿谷さんは、拉致監禁の体験を通じて受けた心の傷の深さを綴っており、その内容は非常に印象的です。

 

結語

 

似非科学であり、現実とは異なる「マインド・コントロール言説」を用い、宗教者を「人格を喪失した欠陥人物」と蔑むことから、恐ろしい拉致監禁や強制脱会が始まりました。

多くの宗教者は「神仏を真実の愛を持った存在として身近に感じており、さらには先祖・家族・隣人との愛や信頼を追求する生き方」を選択したわけです。「信教の自由」です。

そうした彼ら宗教者の選択と権利を尊重することが、より良い社会の実現につながると当会は考えます。

 

拉致監禁や脱会強要という犯罪行為を一掃するためにも、マイノリティ宗教への政治的弾圧を許さないと共に、科学的かつ客観的な視点から信者の人権を守ることが求められています。

 

本記事の参考文献

 

※本記事は以下の文献を参考に作成しています。詳しく確認したい方は、ぜひご覧ください。
(魚谷俊輔氏 著) 『間違いだらけの「マインド・コントロール」論』

ウエブサイト:「洗脳」「マインドコントロール」の虚構を暴く

 

中川晴久牧師が拉致監禁ビジネスを解説

 

※中川晴久牧師が、拉致監禁ビジネスを「精神医療ビジネスの弊害」と比較して分かりやすく解説!「なぜ監禁牧師連中があんな非道を堂々とやれたのか謎が解けた!」

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